【続】信頼の長期フォワード【信長】
どうも、miccoです。
「EAを選ぶ際に何を参考にしますか?」
と、もし質問されたらバックテストの成績やフォワードの実績という答えが多いと思います。
バックテストの成績だけでは参考になりません。EAの開発ができる方ならお分かりいただけると思いますが、バックテストの結果だけならどうにでもできてしまいます。
なので必ず、公開されているバックテストの結果を基に、実際にトレードされたフォワード状況を参考にして EAの挙動を確認します。この際、フォワードはリアル口座が望ましいのですが、デモ口座でのフォワードしか掲載されていないことも多いです。LET’S REAL はリアルフォワードですが、GogoJungle はデモフォワードですよね。
ただ、デモフォワードと言えどバックテストの成績だけを見るよりも何倍も参考になるので、リアル/デモを問わずフォワードが掲載されているだけで EAの選定にはかなり役立ちます。
では、「そのフォワードの期間はどの程度必要ですか?」
残念ながら私は答えを持っていません。感覚的に 1カ月程度では短いかなと感じています。それなら 3カ月?半年?1年?もっと必要??… そのEAのトレードの特徴やロジックにもよるとは思いますが答えは出せません。
3年前に「【保存版】信頼の長期フォワード」というタイトルで、「数年単位の長期フォワードがあり、尚且つある一定の基準以上の実績を出しているEA」を GogoJungleで販売されている全EA から検索して該当するものを列挙した記事を上げました。中には5年間を超える長期間のフォワードの EAもありました。
その時点で既に数年間の長期フォワード実績のあった EAたちが、あれから更に 3年の年月を経てどういった成績となっているのか気になりました。
今回の記事は「信頼の長期フォワード -続-」として、“数年単位の長期フォワードで右肩上がりの実績があるEAを選ぶと良いんじゃない?”という考えで EAを選んだ結果のその後になると思います。
Check
長期フォワードEA一覧
前回の EA選定基準は、
- 数ヵ月~数年単位の長期フォワード
- PF = 1.0 以上
- 収益率 = 50% 以上
- 最大ドローダウン = 20% 以下
- ナンピン、マーチンゲール不使用
- 個人的に好きな感じのもの
この基準でフィルタリングした検索結果の EAを機械的に列挙していました。今回は、その当時に上記の基準を満たしていたEAたちを追ったものとなります。
基本的に前回の信長記事(【保存版】信頼の長期フォワード)に沿って、当時掲載した EAを列挙します。記事の公開日が 2019/4/15ですので、その日から現在(2022/8/23)までの成績がマイナス収支となっている EAや、販売中止になっているEA については文字のみの記載で、プラス収支のものはフォワードを掲載しています。
今回の掲載では、
- フォワード開始 ・・・ 計測が開始された年月日
- 掲載時点のフォワード期間 ・・・ 2019/4/15時点でのフォワード計測期間
- 現在のフォワード期間 ・・・ フォワード開始日から現在(2022/8/23)までのフォワード計測期間
を記載しています。
つまり、“2019/4/15時点で数年間のフォワード期間を持ち、尚且つ一定の基準を満たしたものの中から EAを選び、現在までの3年間 運用した場合にどうなっていたのか” のシミュレーションになるという見方もできると考えています。
今回マイナス収支として扱った EAの中にも、取り上げたタイミングがたまたま悪くマイナス収支の瞬間であった場合ものもあると思います。また、販売中止となっているEA についても、成績不振のため中止にされたものもあれば、何か別の事情で取り下げた場合もあると考えられます。
各EAの詳細については、各商品ページにてご確認いただけると幸いです。
最後に今回のデータをまとめてみました。ここから EAの列挙が続きます。
まとめまで飛びたい方は→ こちら ←からワープできます。
それでは、フォワード計測開始の日付が古い順に掲載していきます。
【2012年 ~ 】
掲載数 = 1
こちらのページにまとめました。
【2014年 ~ 】
掲載数 = 12
こちらのページにまとめました。
【2015年 ~ 】
掲載数 = 19
こちらのページにまとめました。
【2016年 ~ 】
掲載数 = 17
こちらのページにまとめました。
【2017年 ~ 】
掲載数 = 15
こちらのページにまとめました。
【2018年 ~ 】
掲載数 = 14
こちらのページにまとめました。
信頼の?長期フォワード まとめ【信?長】
いかがでしたでしょうか。
これら、一定基準を満たし、尚且つ長期フォワードがあった79個のEA たちを前回の記事(2019/4/15)で掲載しました(※今回は GogoJungleのEA に限定したので79個)が、あれから約3年4カ月の年月を経て結果は様々となっている様です。
いろいろ数字を出してみました。
収支について
プラス収支、マイナス収支、または販売中止・計測停止となっている個数を出してみました。(2022/8/23 現在)
販売中止 or 計測中止 | 20 個 |
マイナス収支 | 21 個 |
プラス収支 | 38 個 |
様々な理由で販売中止、または計測中止となっているとは思いますが、その理由の多くは成績不振であると考えられます。そのためこれらをマイナス収支として計算した場合、マイナス収支 : プラス収支 = 52% : 48% となり、若干プラス収支の割合が少ない結果となりました。
グラフにするとこんな感じです。
概ね半々です。
各EAのフォワード計測開始日から前回記事の 2019/4/15までのフォワード計測期間は、長期間のもので約6年7カ月、最も短かったものが約4カ月でした。全79個のEA のフォワード計測期間を平均すると「約2.89年(2年11カ月)」となります。
サンプルが少ないため、あくまで今回の検証に限定した結果ですが、「既に長期フォワードを有するEAで、かつ、一定の基準を満たしたEA を選んだ結果、その 48%がプラス収支となり、27%がマイナス収支、25%が販売中止もしくは計測中止になった」という結果となりました。
収益率について
続いて、収益率について見てみます。
販売中止・計測停止の計 20個の EAは除外して、現在も販売中の残りの 59個の EA について確認してみました。これら 59個の EA全てのデモフォワードの履歴をGogoJungleからダウンロードしました。
取引ロット数が EAによってそれぞれ異なっており、公平に比較するため全ての EAの各トレードの取引ロット数を 1.0Lotに変換しました。
フォワード計測開始 ~ 現在までの収益率
まず、フォワード計測開始から現在までの全期間で見た収益率についてです。
~ 0% | 4 個 | 7% |
0% ~ +100% | 16 個 | 27% |
+100% ~ +200% | 15 個 | 25% |
+200% ~ +300% | 11 個 | 19% |
+300% ~ +400% | 4 個 | 7% |
+400% ~ | 9 個 | 15% |
フォワード計測開始から現在までの、各EAのフォワード期間を平均すると約6年3カ月となります。この6年強という期間で上記の各収益率について多いと考えるか、少ないと考えるかは個々のEA運用に対するスタイルによるところかと思います。
グラフにするとこんな感じです。
「販売中止・計測停止を除外した残りの 59個の EAのうち、66%の EAが収益率 +100%以上となり証拠金が 2倍以上になった」という結果になりました。
前回記事掲載時点 ~ 現在までの収益率
次に、前回記事掲載時点(2019/4/15)から現在までの期間で見た収益率についてです。初期証拠金を1,000,000円に揃えて計算しています。
~ 0% | 21 個 | 36% |
0% ~ +50% | 17 個 | 29% |
+50% ~ +100% | 12 個 | 20% |
+100% ~ +200% | 5 個 | 8% |
+200% ~ +300% | 1 個 | 2% |
+300% ~ +400% | 1 個 | 2% |
+400% ~ | 2 個 | 3% |
フォワード期間は 3年4カ月です。グラフで見ると以下のとおりです。
前項のとおり全期間で見ると 0%以下は 4個でしたが、2019/4/15から現在で見ると 21個で、販売中止・計測停止を含むと 41個となりした。また、+100%以上となった EAは 9個ありました。
「既に長期フォワードを有している EAのうち 52%(41個※販売中止・計測中止含む)がマイナス収支となり、10%(9個)の EAが +100%以上となり証拠金が2倍以上となった」結果となりました。
最大ドローダウンについて
次に、最大ドローダウンについて見てみました。
前項と同じく、販売中止または計測停止されていた 20個の EAは除外して、現在も販売中の 59個の EAについて確認しました。取引ロット数については 1.0Lotに変換し、初期証拠金を1,000,000円に揃えて最大ドローダウン率を算出しました。
フォワード計測開始から前回記事掲載時点(2019/4/15)までと、前回記事掲載時点から現在までの期間で見たそれぞれのグラフが以下です。
計測開始 ~ 2019/4/15 | 2019/4/15 ~ 2022/8/23 |
あまり変わりはありませんでした。
ただ、この中で 2019/4/15以降のフォワードにおいて、37個の EAが最大ドローダウンを更新していました。販売中止・計測停止の EAを合わせると 57個の EAが最大ドローダウンを更新したと考えられます。
誰が言ったのか存じませんが「最大ドローダウンは未来に更新される」という言葉を思い出しました。
「既に長期フォワードを有する 79個のEAのうち、72%(57個)の EAが最大ドローダウンを更新した」という結果となりました。
リカバリーファクターについて
続いて、リカバリファクター(RF)について見てみます。
RF は期間が長くなると値が大きくなるので、RF/年で比較してみました。比較する期間は、「フォワード計測開始日から前回記事掲載時点までのRF/年」と「前回記事掲載時点から現在」までです。
取引ロット数や初期証拠金については前述と同じく、 1.0Lotに変換し、初期証拠金を1,000,000円に揃えています。また、販売中止または計測停止されていた 20個の EAは除外して、現在も販売中の 59個の EAについて確認しました。
フォワード計測開始 ~ 前回記事掲載時点までの RF/Year
まず、各EA について、それぞれのフォワード計測開始日から前回記事掲載時点までの日数から 1年当たりの RF(RF/Year)を算出しました。
各フォワード計測開始日 ~ 前回記事掲載時点までの RF/Year
~ 1 | 6 個 | 10% |
1 ~ 2 | 8 個 | 14% |
2 ~ 3 | 9 個 | 15% |
3 ~ 4 | 10 個 | 17% |
4 ~5 | 7 個 | 12% |
5 ~ 10 | 11 個 | 19% |
10 ~ | 8 個 | 14% |
概ね均等に分かれていました。
これは RF/Yearを算出しているので、例えば RF/Year=1 ~ 2の成績の EAを10年間運用すると、その EAの10年間で見る RFは「10 ~ 20」になるという事になります。10年間のバックテストまたはフォワードでRFが 10~20あれば使うに値する成績である考えられます。
また、RF/Year=5 以上、つまり10年間の RF=50~100以上の EAが 19個もあり、全体の約 33%もあります。もしこの成績がこの先も続く様なら、長期フォワードを有する EAを選べば優位性の高いEAを見つけられる有効な方法となり得ますが、この後の「前回記事掲載時点~現在」を見て確認してみましょう。
前回記事掲載時点~現在までの RF/Year
~ 1 | 39 個 | 66% |
1 ~ 2 | 11 個 | 19% |
2 ~ 3 | 4 個 | 7% |
3 ~ 4 | 1 個 | 2% |
4 ~5 | 0 個 | 0% |
5 ~ 10 | 3 個 | 5% |
10 ~ | 1 個 | 2% |
先ほどと違い偏りが見えてきました。
「フォワード開始から前回記事掲載時点(前者)」と「前回記事掲載時点~現在(後者)」をグラフで比較すると以下の様になります。
前者の RF/Year=1以下が「6個」であったのに対し、後者では「39個」まで増えています。これは前回記事掲載時点から現在までの間のフォワード成績が、それまでの長期フォワード成績実績と比較して”いまいち“だった、もしくは”成績不振“となった EAが多かった事が表れた結果であると考えられます。
後者の RF/Year=1以下に除外していた販売中止・計測停止の 20個のEAを加えると、79個のEA のうち 59個のEA が、それまでの長期フォワードから見られる期待を下回ることとなったと考えられます。
「既に長期フォワードを有する 79個のEA のうち、75%(59個)のEA が期待を下回った」という結果となりました。
まとめ
前回の信長記事「【保存版】信頼の長期フォワード」で掲載していた EAのその後を追ってみました。
各項を末尾でまとめた文を改めて記載します。
- 既に長期フォワードを有するEAで、かつ、一定の基準を満たしたEA を選んだ結果、その 48%がプラス収支となり、27%がマイナス収支、25%が販売中止もしくは計測中止になった
- 既に長期フォワードを有する EAのうち 52%がマイナス収支となり、10%の EAが +100%以上となり証拠金が2倍以上となった
- 既に長期フォワードを有する EAのうち、72%の EAが最大ドローダウンを更新した
- 既に長期フォワードを有する EA のうち、75%のEA が期待を下回った
「△△%のEAが~」と表記していますが、たった80個程度という少ないサンプルの中での比率であるということと、このサンプルの基となっているフォワードデータは GogoJungleからダウンロードしたデモフォワードのデータですので、あくまで参考程度にご覧いただけると幸いです。
私がEAを公開する際は、事前にリアル口座でフォワードを確認しますが、1~3カ月程度であったり、直近の Fixesは結果的に 6カ月間吟味しリアルフォワードを確認した後に公開することにしました。特段期間を決めてはいません。
それはいつも「長ければ長いほど良いのか?」という疑念を抱いていたからです。個人的には期間よりも、ある程度の回数のトレードを見て、意図していない動きが無いか動作確認することを目的としています。それと並行して、バックテストと比較して想定していたトレードになっているかを確認しています。
今回の総評としては、「EAの導入を検討する際にフォワードデータは必須だが、必ずしも年単位の様な長期フォワードである必要はない」という事がわかりました。
– 完 –
[さいごに]
3年以上にわたる大作となった信長シリーズ。
ページ内の各EA のリンクにはアフィリンクを散りばめています。笑
ぜひEAを購入の際はアフィリンクを踏んで購入していただけると報われますm(_ _)m
では^^